ひろぶろ.com

アメリカ ミシガン州に赴任中 メーカ勤務の日本人のブログ

【Hardware】黒電話 600-A2 を分解してみた②

前回の記事(【Hardware】黒電話 600-A2 を分解してみた①)では黒電話を実際に分解して全体概要を記載しました。

今回は電話回線I/Fとフックスイッチとダイヤルの動作について見ていきますლ(╹◡╹)


◆600-A2 回路図
f:id:Hiroe:20131220020615p:plain


◆公衆回線とのI/F
モジュラーケーブルを介して公衆回線と接続されるI/Fです。L1・L2の2pinで形成されます。
モジュラーコネクタのL1とL2はこんな感じ。
f:id:Hiroe:20131223222341j:plain

L1・L2の間には交換機からの直流給電として約48Vが供給されています。

オンフック(送受器が置かれた状態)では電流が流れませんので48Vの電位差がありますが、
オフフック(送受器を持ち上げた状態))になると電流が流れるため交換機や回線の直流抵抗により電圧降下が発生して、L1・L2間の電位差は約6V近辺まで落ちます。


◆フックスイッチ
オフフックにすると、回路上でHS1とHS2が閉じます。するとL1~L2には直流電流が流れる経路が形成されるので結果、交換機~L1~L2~交換機 という電流ループを形成するように動作します。
一方オンフックにすると回路上でHS1とHS2が開きますので上記のループを切ります。

オフフック⇔オンフックと繰り返したときのHS1、HS2周辺のgifアニメです。
f:id:Hiroe:20131223151830g:plain
HS1とHS2が閉じたり開いたりしているのが分かると思います。


ダイヤル
所望の番号に指を入れてダイヤルを回し指を離す… 現在のプッシュ式電話と使い方が大きく異なるのがダイヤルだと思います。

ダイヤルを回す前・ダイヤル回し中、ダイヤル戻り中のDi、Dsがどうなっているかを表にしました。
f:id:Hiroe:20131223203616p:plain

表中のDiのダイヤル戻り中はCloseとOpenをパタパタと交互に繰り返しています。この時のDiの動きは以下のようになっています。
f:id:Hiroe:20131223211224g:plain
分かりにくい…汗
繰り返す回数はダイヤルが1のときは1回、ダイヤルが4のときは4回、0のときは10回です。

ところで
・Diがopen=電流ループが切れる=L1-L2間の電位差が48V
・DiがClose=電流ループが形成される=L1-L2間の電位差が6V程度まで落ちる。
f:id:Hiroe:20131223220444g:plain

ということはダイヤル戻り中、縦軸をL1-L2間電圧・横軸を時間としてグラフを描くと電圧波形は矩形パルスのようになります。
これをダイヤルパルスといいます。
電流ループが切れた状態をブレーク、電流ループが形成された状態をメークと言います。

交換機はこのパルスの数を検出してユーザーが何番をダイヤルしたのかを認識します。そしてダイヤル先に回線を繋ぐわけです。
0120だったら、パルスの数が10発→1発→2発→10発 となるわけです。


ところでパルス周波数とブレーク/メーク各々の比率は規格により規定されています。
f:id:Hiroe:20131223221549j:plain
ダイヤルパルス速度がパルスの周波数。pps=pulse per sec
ダイヤルパルスメーク率は (メーク時間)/(ブレーク時間+メーク時間)
ミニマムポーズは ダイヤル間の待ち時間
です。
ダイヤルパルス機能は、上記の規格に従って設計されていなくてはいけません。

最近はダイヤルパルス方式の電話なんて殆ど無くてDTMF方式が圧倒的多数でしょうけど。。
DTMFについてはまた機会があれば記事を書きたいと思います。